立地企業インタビュー
日本ゼオン株式会社 水島工場(水島臨海工業地帯)
■お答えいただいた方

執行役員 水島工場長 小瀬智之さん
(インタビュー:2017年2月)
補助金を活用して導入した新規設備と
岡山県で働く優秀な人材が独創的技術を昇華させる!
倉敷市児島(水島臨海工業地帯)へ立地を決めた理由

1960年代中頃、富山県高岡工場で製造していた塩化ビニール樹脂の事業拡大を検討していました。候補地として、この水島、大分があがっていましたが、塩化ビニール樹脂の原料が水島で調達できるということで、水島へ進出することを決めました。
1968年に着工し、1969年には稼働を始めました。
専用岸壁では国内外からの主原料や製品など、毎日多くの荷役を行っており、これがなければ製造は成り立たず、この地での生産は非常にありがたいものとなっています。
その恩恵を既存プラントに併設する新規プラントで享受することが大きな利点となることから、今回の新製品の製造拠点を水島とすることとしました。
新規プラントの建設を水島工場に決めた理由
今回、新規プラントを水島工場に建設することを決めた主な理由は下記の通りです。
- 既存設備を活用して、新製品を含めた石油樹脂の生産拠点とできること
- 海外立地と比較して、新規技術導入を国内の優秀な人材で技術を昇華させてから、海外展開することができること
- 水島工場は、石油樹脂の新規技術・新製品の生産、技術開発に長けていること
- コンビナートの利点である原料ソース、蒸気・電気・工業用水の確保、水島港・高速道路網・鉄道網などのインフラが充実しており、初期投資やランニングコストが抑えられること
- 地震・津波・台風・渇水・降雪などの自然災害が少なく、安心してモノづくりができる環境であること
- 岡山県が新技術を導入する企業を積極的に支援していること
- 岡山県には、製品を継続して製造するために必要な、優秀な人材を育成し、その供給源となる土壌があること
- 岡山県と倉敷市などの行政から、大きな支援を受けることができること
- 岡山県から東京の本社に来て、補助金の説明など積極的な誘致活動を行ってくださったこと
さらに、石油樹脂を研究、開発している研究所が2年前に、川崎(神奈川県)にある総合研究開発センターから水島工場に移ってきたことも、背景の一つです。
当社は、「スピード」、「対話」、「社会貢献」を重要な価値観として、各種取り組みを行っているので、研究と製造が一体となって新製品を立ち上げていくということがまさしくこの価値観を具現化するものと考えます。
岡山県拠点工場化等投資促進補助金について

当社の水添石油樹脂は、世界初のピペリレンを原料とした石油樹脂です。当社の独創的技術が活かされています。
今回の設備投資の候補地は他にもありましたが、やはり既存設備との併設が可能で、新製品に対する運転技術に長けた人材がいる水島工場が最適、という判断でした。
一方で、昨今の建設費用増大に伴い投資額が大きくなり、採算が取れない事態も想定された中で、岡山県から補助金のお話をいただき、とんとん拍子に工事着工へと進みました。
この事業に対して補助金の認定をしていただいた岡山県に大変感謝しています。
岡山県への立地を検討している企業へのメッセージ

このような新たな事業を始めるには、行政の強力な支援がなければできません。
その点で、岡山県は多くの経験、知見を有している自治体であり、補助金制度も充実しており、立地後のフォローもあり、いつも気に掛けていただけるところが魅力的な県です。
岡山県下には、工業高等専門学校や工業高校が多くあり、優秀な人材の宝庫で、当社の従業員はこれらの学校の出身者が多く、地場に定着した工場運営ができています。
彼らの現場での活躍は目を見張るものが有り、多くの改善を積極的に進めてくれています。
また、自然災害の少なさから、本社(東京)が有事の際は水島工場が第2本社としての機能を有する事業所となるなど、BCP上のリスク分散というメリットもあります。
今後の事業展開について
日本ゼオンではこれまで独創的な技術を駆使し、人の真似のできない多くの製品を創り出してきました。当水島工場でも世界一製品の生産を行っていますが、一例は以下の通りです。
水島工場は、これからも独創的技術を駆使して世界一製品を作り続ける工場として存在し続けるため、安定・安全生産を継続し、需要家の皆様に喜んでいただける製品を作り続けていきます。
青葉アルコール

香粧品や食品フレーバーに使われるグリーン系合成香料です。
全世界で圧倒的なシェアを占めています。
ゼオネックス®・ゼオノア®
COP(シクロオレフィンポリマー)と呼ばれる高機能プラスチックです。優れた光学特性や低吸湿性などの特長を活かし、カメラやOA機器用レンズなどの光学用途、注射器のシリンジ・血液検査器材等の医療・バイオ用途をはじめとする様々な分野で使用されています。


中でも、ゼオノア
®を材料とするLCD用光学フィルム「ゼオノアフィルム
®」は大型液晶フィルムやスマートフォンにはなくてはならない部材として、私たちの身近なところで活躍しています。
会社概要
事業所名 |
日本ゼオン株式会社 水島工場 |
所在地 |
〒711-8511 岡山県倉敷市児島塩生字新居浜2767-1 |
TEL |
086-475-0021 |
FAX |
086-475-1169 |
操業開始 (水島工場) |
昭和44年(1969年) |
本社所在地 |
〒100-8246 東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル |
創立 |
昭和25年(1950年) |
資本金 |
242億1,100万円(2016年3月末) |
代表者 |
代表取締役会長 古河直純 代表取締役社長 田中公章 |
従業員数 |
連結 3,164名、単体 1,624名(2016年3月末) |
事業内容 |
エラストマー素材、高機能材料など、石油化学製品の製造販売 |
URL |
http://www.zeon.co.jp/ |